
こんばんは。
今回は、シナリオを書いているときのこだわり紹介です。
これはもう、個人の嗜好によるのかと思うのですが、
私は食べ物が美味しそうに感じられる文章がとっても好きなんです。
なので、私が書くものには食べ物がわりと出てくる方だと思います。
CD脚本やSSなどは、文字だけでいくらでも表現ができるので。
ゲームのように視覚に左右されない分、食べ物の美味しさ表現にこだわってしまいます。

例えば、このようなパンケーキ。
焼きたての匂い、ナイフを差し入れたときの感触と音、
徐々に溶けてチョコレートソースと混じり合うホイップとアイスクリーム。
一口に切り分けて食べるのか、大きくカットして口いっぱいに頬張るのか。
口に入れるまでの過程はとっても重要です。
そして口の中に入れたとき、とろけるのかじゅわっと甘みが広がるのか、
最早言葉など不要な美味しさなのか。
これは食べているキャラクターによって表現方法が細かく分かれてくるのかなと思います。
個人的には、どんなシナリオでも食べ物描写をねちねちと書きまくりたいんですが、
尺の都合があって、なかなかそうはいきません。
それでも、シナリオにいただく感想に「とてもお腹が空きました」等という一文があると、
思わずガッツポーズです。
他に、風景の描写もとても好きです。
でも風景って、なかなか難しくて。
特に、色の起伏や目立つものがない風景の描写には苦労します。

例えば、こういう緑しかない風景。
実際に歩くと、とても素敵な場所なんです。
連なる緑と、視界に入る空とのコントラストが、ハッとするほど鮮やかで。
でも文字だけで表そうとすると、なんでしょうね……華がない、と言いますか。
読み手(聞き手)の興味を惹きつけるだけの言葉を、用意できないのです。
これが、紅葉だったり花畑だったりすると、話は別なのですが……。

苔とか、本当に難しい。
岩肌やアスファルトが苔に覆われている光景って、美しいと思うのです。
しかし、しかし……!!
それを魅力的に表現するには、まだ力量が足りていない……っ!!
こういった風景はさらりとした表現で流して、もっとわかりやすく美しい風景を
魅力的に表現して際立たせる、というのが一般的だとは思うのですが。
一見すると平凡寄りな風景にもスポットを当ててあげたいと、どうしても思ってしまいます。
ただ、シナリオに求められているものは食べ物や風景の表現ではないと思いますので、
あくまで自分の中でのこだわりに留まりますね、やっぱり。
昔、ひたすらに食事するSSや、町並みを描くだけのSSを個人的に書いたことがありますが、
異様に楽しかった気がします。
こういったこだわりは、他のライターさんにもあるものなんでしょうか。
色々と聞いてみたいなあと、ふと思った次第です。
それでは、今回はこの辺りで失礼します。
本日の担当は、恵莉ひなこでお送りしました!
